「AIを営業に使え」と言われても、何から打ち込めばいいのか分からない。そんな現場のために、営業プロセスの順番どおりに、そのままコピペして使えるAIプロンプトを30個まとめた。
リサーチ、メール、商談準備、提案書、議事録、分析、フォロー。営業の一日をなぞるように並べてある。各プロンプトは自社の情報を `[ ]` の箇所に差し込むだけで動く設計だ。ChatGPTでもGeminiでもClaudeでも、基本はそのまま使える。
「とりあえず触ってみたが、雑な答えしか返ってこなかった」という人ほど効く。原因の多くはAIではなく、指示の出し方にある。まずは気になるカテゴリのプロンプトを1つコピーし、自分の案件で試してほしい。AIそのものが初めての場合は、今さら聞けない「営業のAI活用」超入門|ChatGPTで何ができるを先に読むと、この記事の使い勝手が一段上がる。
プロンプトを使いこなす最小のコツ
30個を渡す前に、これだけは押さえてほしい。良いプロンプトは、次の4点を含んでいる。逆に言えば、この4点が欠けると出力は急に雑になる。
| 要素 | 役割 | 書き方の例 |
|---|---|---|
| 役割 | AIに立場を与える | あなたは経験15年のB2B営業マネージャーである |
| 目的 | 何のための出力か | 初回商談のアポを取るためのメールを作る |
| 制約 | 形式・長さ・トーン | 250字以内、敬体、専門用語は避ける |
| 入力情報 | 判断材料を渡す | 商品概要・相手の業界・過去のやり取り |
コツは単純だ。AIは気を利かせて補完してくれるが、その補完は当てずっぽうである。判断材料を渡さなければ、一般論しか返ってこない。だからこの記事のプロンプトには、あえて `[ ]` のプレースホルダを多めに置いた。面倒でも、ここを自社の実情で埋めるほど精度は上がる。
なお、自社情報や自分の営業スタイルを毎回打ち込むのが手間なら、AIに最初から覚えさせておく方法がある。詳しくはChatGPTに最初に覚えさせるべき自己紹介プロンプトを参照してほしい。
それでは本体に入る。コードブロックをそのままコピーし、`[ ]` を埋めて使ってほしい。
A. 顧客・企業リサーチ
商談の質は、準備した情報量でほぼ決まる。会う前にここを固める。
用途:初回接触前に、相手企業の全体像を5分で把握する。
あなたはB2B営業のリサーチ担当である。
以下の企業について、商談準備用に整理してほしい。
企業名:[企業名]
業界:[業界]
公開情報(あれば貼り付け):[IR・採用ページ・ニュースなど]
# 出力
1. 事業内容の要約(3行)
2. 直近で力を入れていそうな領域(推測でも可、根拠を添える)
3. この企業が抱えていそうな課題の仮説(3つ)
4. 営業として最初に確認すべき質問(3つ)
用途:相手の業界トレンドを踏まえ、刺さりやすい切り口を探す。
あなたは[業界名]に詳しい営業コンサルタントである。
この業界で、いま多くの企業が直面している共通課題を5つ挙げてほしい。
各課題について、以下を1行ずつで示すこと。
- 課題の概要
- それが営業・売上に与える影響
- 私たちのような[自社の提供価値を一言で]が貢献できる余地
専門用語は避け、現場の担当者に伝わる言葉で書くこと。
用途:担当者個人の関心や立場を想像し、会話の糸口を作る。
あなたは商談前の下調べを支援するアシスタントである。
これから会う相手の情報を渡すので、会話の糸口を整理してほしい。
役職:[役職]
部署:[部署]
分かっている背景:[わかっていること]
# 出力
1. この役職の人が評価されるポイント(何で成果を測られるか)
2. ゆえに関心が高いと思われるテーマ(3つ)
3. 初対面で使える、自然な切り出しの一言(2案)
用途:既存の顧客リストから、優先的に攻めるべき先を仕分けする。
以下は私の担当顧客リストである。アプローチの優先度を判定してほしい。
[企業名・業界・規模・直近の接点などを貼り付け]
# 判定基準
- 課題の緊急度
- 予算を持っていそうか
- こちらの提供価値との相性
各社をA(最優先)・B(中)・C(後回し)に分類し、
理由を1行ずつ添えること。最後に、今週動くべき上位3社を挙げること。
用途:決算資料やニュースから、商談で触れるべき話題を拾う。
あなたは企業分析のアシスタントである。
以下の公開情報から、営業として商談で触れると効果的な話題を抜き出してほしい。
対象企業:[企業名]
貼り付ける情報:[決算サマリー・プレスリリース・社長メッセージなど]
# 出力
1. 相手が今いちばん注力していると読み取れるテーマ
2. そこに絡めて話せる、こちらの提供価値の接点
3. 商談冒頭で使える「御社の◯◯を拝見し」の一言(2案)
推測の箇所は推測と明記し、断定しないこと。
B. アプローチ・メール
リサーチで得た仮説を、最初の接点に変える。テンプレ感を消すのがポイントだ。
用途:返信率を意識した、初回アプローチメールを作る。
あなたはB2B営業のメール作成のプロである。
初回アプローチのメールを作ってほしい。売り込み臭を抑え、相手の課題起点で書くこと。
宛先の相手:[役職・業界]
こちらの商品/サービス:[商品概要]
相手にありそうな課題:[課題の仮説]
依頼したいこと:[15分の打ち合わせ など]
# 条件
- 250字以内
- 件名を3案
- 最後は軽い問いかけで締める(即決を迫らない)
用途:一度送って反応がない相手への、追いかけメールを作る。
以下の初回メールに返信がなかった。失礼にならない追いのメールを作ってほしい。
[送った初回メールを貼り付け]
# 条件
- しつこさを感じさせない
- 前回と違う角度の価値を1つ足す
- 120字程度と短く
- 返信しやすい二択の問いかけで終わる
用途:相手の状況別に、メールの言い回しを一気に出し分ける。
次の本文を、相手の温度感に合わせて3パターンに書き分けてほしい。
元の本文:[本文を貼り付け]
# 出力
1. まだ警戒している相手向け(丁寧・控えめ)
2. 興味を示している相手向け(一歩踏み込む)
3. 多忙で時間がない相手向け(要点だけ・短文)
それぞれ件名も付けること。
用途:紹介や問い合わせへの一次返信を、素早く丁寧に整える。
あなたは営業事務も兼ねる営業担当である。
以下の問い合わせに対する一次返信を作ってほしい。
問い合わせ内容:[内容を貼り付け]
こちらが伝えたいこと:[次のアクション・候補日など]
# 条件
- お礼から入る
- 相手の質問に過不足なく答える
- 次の具体的なアクションを1つ提示する
- 敬体、220字以内
用途:イベントや展示会で交換した名刺へ、お礼メールを送る。
あなたは丁寧で温度感のある営業である。
先日接点を持った相手へのお礼メールを作ってほしい。
接点:[展示会・セミナー・紹介など、どこで会ったか]
相手:[業界・役職]
そのとき話したこと:[会話の内容]
次につなげたいこと:[資料送付・後日の面談など]
# 条件
- 接点を具体的に思い出させる一文を入れる
- 売り込みは抑え、次の一歩は軽く提案する
- 200字程度、敬体
- 件名は開封したくなる短いものを2案
C. 商談準備(想定問答・ヒアリング設計)
行き当たりばったりの商談を、設計された商談に変える。
用途:商談で必ず聞かれる質問を先回りし、回答を用意する。
あなたは私の商談に同席するベテラン営業である。
以下の商談で、相手から出そうな質問と、その回答案を用意してほしい。
商品/サービス:[商品概要]
相手:[業界・役職]
想定シーン:[初回提案 など]
# 出力
想定質問を10個、優先度順に。
各質問に対し、回答の要点を2〜3行で。
特に、価格・他社比較・導入の手間に関する質問は厚めに扱うこと。
用途:ヒアリングの型を作り、聞き漏れと深掘り不足をなくす。
あなたは課題解決型の営業のプロである。
初回商談で使うヒアリングの質問リストを設計してほしい。
こちらが解決できること:[提供価値]
相手の業界:[業界]
# 条件
- BANT(予算・決裁・必要性・時期)を自然に確認できる流れにする
- 詰問にならない、会話的な質問にする
- 現状→課題→理想→障害、の順で7〜9問
- 各質問の意図(なぜ聞くか)を括弧で短く添える
用途:想定される反論への切り返しを、事前に準備しておく。
以下の商品について、商談で出やすい反論と、その切り返しを用意してほしい。
商品/サービス:[商品概要]
価格帯:[価格]
# 出力
よくある反論を6つ(例:高い、今は不要、社内が動かない など)。
各反論に対し、否定せず受け止めてから返す切り返しを2〜3行で。
最後に、その場で出すと効く問い返しの一言を添えること。
用途:商談のゴールから逆算し、当日の進行を組み立てる。
あなたは商談設計のコーチである。
次の商談の進行台本を作ってほしい。
商談のゴール:[次回アポ獲得・見積提示など]
持ち時間:[30分 など]
相手:[役職・人数]
# 出力
アイスブレイク→ヒアリング→提案→クロージングの時間配分。
各パートで「やること」と「言うこと」を箇条書きで。
時間が押した場合に削ってよい箇所も明記すること。
D. 提案書・資料
ヒアリングで掴んだ課題を、相手が社内で通せる提案に落とす。
用途:提案書の骨子を、相手の課題起点で一気に組む。
あなたはB2Bの提案書作成のプロである。
以下の情報から、提案書の構成案を作ってほしい。
相手の課題:[ヒアリングで得た課題]
こちらの解決策:[商品・サービス]
相手の決裁者が気にすること:[コスト・効果・リスクなど]
# 出力
スライド単位の構成(タイトルと一言メモ)。
冒頭で相手の課題を言語化し、解決後の姿→手段→根拠→費用→次の一歩、の順に。
決裁者が首を縦に振る論理になっているか、最後に自己点検すること。
用途:機能の羅列を、相手にとっての価値(ベネフィット)に翻訳する。
次の商品の特徴を、相手にとっての価値に翻訳してほしい。
商品の特徴(箇条書き):[機能・スペックを貼り付け]
相手:[業界・役職]
# 出力
各特徴について「だから何が嬉しいのか」を1行で。
できれば数字や時間の節約に結びつけること。
最後に、最も刺さりそうな価値を1つに絞って提案の一言にまとめること。
用途:提案の要点を、決裁者向けに1枚へ凝縮する。
以下の提案内容を、決裁者向けのサマリー1枚にまとめてほしい。
提案内容:[提案の中身を貼り付け]
# 条件
- 現状の課題・解決策・期待効果・費用・導入時期の5項目
- 各項目2〜3行
- 専門用語を使わず、忙しい役員が30秒で読める密度
- 投資対効果が伝わる一文を必ず入れる
用途:事例紹介を、相手の状況に近づけて語れるよう整える。
あなたは導入事例を営業トークに変える編集者である。
以下の事例を、これから提案する相手に響く形で再構成してほしい。
元の事例:[事例の概要]
提案相手の状況:[相手の業界・課題]
# 出力
1. 相手と似た「導入前の悩み」の描写
2. 取り組みと結果(数字があれば強調)
3. 相手が自分ごと化できる一言
誇張せず、事実の範囲で書くこと。
E. 議事録・記録
商談直後の数分を削る。記録の質はフォローの質に直結する。
用途:商談メモから、共有用の議事録を整える。
以下は商談の走り書きメモである。共有用の議事録に整えてほしい。
[メモを貼り付け]
# 出力
1. 日時・相手・出席者(分かる範囲)
2. 決まったこと
3. 保留・持ち帰り
4. ネクストアクション(担当と期限つき)
箇条書きで簡潔に。メモにない情報は創作しないこと。
用途:長い打ち合わせの音声書き起こしから、要点だけ抜く。
次の文字起こしから、営業として必要な情報だけ抽出してほしい。
[文字起こしを貼り付け]
# 出力
- 相手のニーズ・課題(発言の根拠つき)
- 予算・時期に関する言及
- 懸念・反対意見
- こちらの宿題
雑談や脱線は省くこと。
用途:商談後に上長へ送る、短い報告文を作る。
以下の商談内容を、上長へのチャット報告にまとめてほしい。
商談メモ:[メモを貼り付け]
# 条件
- 結論から書く(受注確度・次の一手)
- 5行以内
- 上長が判断・支援すべき点があれば最後に1行で
用途:CRMに残す記録を、後で検索しやすい形に整える。
次の商談内容を、CRM入力用に整形してほしい。
[商談メモを貼り付け]
# 出力
- 商談フェーズ(初回接触・提案・最終 など)
- 確度(高・中・低と理由)
- 次回アクションと予定日
- 重要なキーワード(後で検索する用に3〜5語)
簡潔なテキストで、項目名つきで出すこと。
F. 分析(競合・失注・パイプライン)
個々の案件から一段引いて、勝ち筋と漏れを見つける。
用途:競合と比較し、自社の勝ち筋と弱点を言語化する。
あなたは競合分析のプロである。
自社と競合を比較し、商談で使える整理をしてほしい。
自社:[自社の商品・強み]
競合:[競合名・分かっている特徴]
比較する観点:[価格・機能・サポートなど]
# 出力
1. 観点ごとの比較表
2. 自社が明確に勝てる点(ここで押す)
3. 自社が弱い点と、その切り返し方
誇張せず、相手に聞かれても崩れない範囲で書くこと。
用途:失注の理由を分類し、次に活かす学びを抜き出す。
以下は最近の失注案件のリストである。傾向を分析してほしい。
[案件名・失注理由・フェーズなどを貼り付け]
# 出力
1. 失注理由の分類と件数
2. 最も多いパターンと、その背景にある共通点
3. 次から変えるべき行動(具体的に3つ)
精神論ではなく、再現できる打ち手に落とすこと。
用途:パイプライン全体を見て、滞留と着地見込みを把握する。
次は私の案件パイプラインである。全体を診断してほしい。
[案件名・金額・フェーズ・最終接触日などを貼り付け]
# 出力
1. フェーズ別の件数・金額の偏り
2. 動きが止まっていそうな案件(最終接触日が古い順)
3. 今月の着地見込みと、上振れ・下振れの要因
4. 今週テコ入れすべき案件トップ3
数字の根拠を簡潔に添えること。
用途:自分の営業活動を振り返り、改善点を客観視する。
あなたは営業の1on1を行うマネージャーである。
以下の私の活動実績を見て、フィードバックしてほしい。
[訪問数・提案数・受注数・期間などを貼り付け]
# 出力
1. 数字から読み取れる強みと課題
2. ボトルネックになっている工程(どこで落ちているか)
3. 来週から試すべき改善アクション(2つ、すぐ実行できるもの)
ダメ出しではなく、次に進むための助言として書くこと。
G. 育成・フォロー
受注後と、部下の成長。短期の数字の先にある、継続の仕組みを作る。
用途:受注後のフォロー計画を、関係維持の観点で組む。
あなたは顧客との長期関係づくりに強い営業である。
受注後のフォロー計画を作ってほしい。
顧客:[業界・規模]
納品/契約したもの:[内容]
# 出力
- 導入直後・1か月後・3か月後にやること
- 各タイミングで送る連絡の趣旨
- アップセル・紹介につなげる自然なきっかけ
押し売りにならない、役に立つ接点を中心に設計すること。
用途:既存顧客への再提案のタイミングと切り口を見つける。
以下の既存顧客に、追加提案できる余地を洗い出してほしい。
顧客の状況:[利用中のサービス・最近の動き]
こちらが提供できる他の選択肢:[商品ラインナップ]
# 出力
1. いま提案すると刺さりそうなテーマ(3つ)
2. それぞれの切り出し方の一言
3. 提案を出すのに適したタイミングの目安
売り込み感を出さず、顧客の利益を起点に書くこと。
用途:部下の商談を振り返り、育成コメントの材料を作る。
あなたは営業育成に長けたマネージャーである。
部下の商談記録を見て、育成のための論点を整理してほしい。
商談記録:[記録を貼り付け]
# 出力
1. 良かった点(具体的な発言や行動を引用)
2. もったいなかった点と、その場でどうすればよかったか
3. 次の商談で1つだけ意識させたいこと
本人のやる気を削がない言い方で書くこと。
用途:自分用のロールプレイ相手として、AIに顧客役をさせる。
これから商談のロールプレイをしたい。あなたは顧客役を演じてほしい。
顧客の設定:[業界・役職・性格・抱える課題]
こちらが提案するもの:[商品概要]
# 進め方
- あなたは少し懐疑的な顧客として、リアルに反応すること
- 私が話したら、その顧客なら言いそうな質問や反論を返すこと
- 私が「フィードバック」と言ったら役を抜け、商談の改善点を講評すること
まずはあなたから、商談開始の一言をどうぞ。
使う前に押さえる、2つの注意
便利だが、丸投げは事故のもとである。次の2点だけは徹底してほしい。
- 出力は必ず人の目で検証する。AIは事実のように嘘を書く。固有名詞・数字・他社情報・法的な内容は、そのまま使わず裏取りする。提案書や顧客に出す文章は、最後に自分の言葉で整える。
- 機密情報の扱いに注意する。顧客名・個人情報・未公開の社内情報を入力する前に、自社のAI利用ルールを確認すること。心配なら、企業名を伏せる、固有名詞を記号に置き換えるなどして使えばよい。プレースホルダの `[ ]` は、そのための仕組みでもある。
この2点さえ守れば、AIは怖い道具ではない。むしろ、面倒な下準備を肩代わりし、人にしかできない対話に集中させてくれる相棒になる。
Next Action
読んで終わりにしないために、今日やることを1つに絞る。
- この記事から、自分が一番時間を取られている工程のプロンプトを1つ選ぶ。リサーチでもメールでも議事録でもよい。
- それをコピーし、`[ ]` を今抱えている実際の案件の情報で埋める。
- AIに投げて、出てきた結果を5分だけ手直しして、実務でそのまま使う。
うまくいったら、明日は別の工程のプロンプトを足す。これを1週間続ければ、営業の一日の景色は確実に変わる。完璧な使い方を待つ必要はない。まずは1個、今すぐ試すことだ。


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